2008年06月20日

「博士の愛した数式」小川洋子

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80分しか記憶がもたない数学の博士の家に派遣された家政婦。

博士の背広にはあちこちにクリップで留められたメモがあります。

80分の記憶を補うためメモし、そのメモがどこにいったかわからなくならないようにすべて背広に留めているのです。

博士は数字にしか興味ありません。

初対面でいきなり尋ねられたのが靴のサイズ。

24と答えると4の階乗だと感心します。

電話番号を聞けば1億までの間に存在する素数の個数に等しいと感嘆します。

万事このような調子です。

80分しか記憶がもちませんので、翌日に訪れるとまた1からのスタートです。

しかし主人公の家政婦は博士に愛着を感じ、根気よく世話をしていきます。

家政婦に10歳の息子がいることを知り、家政婦が博士の世話をしているあいだひとりぼっちだと聞いた博士は、それはとんでもないことだと息子が学校を終えると家に来るように命じます。

ここから家政婦、その息子、そして博士の毎日が始まるのです。

実にほのぼのとした心暖まる話です。

数字や数式が効果的に散りばめられています。

そして阪神タイガースのエピソード、江夏豊の背番号28という数字に至っては、あまりにもこの小説の組み立てにおいて完璧すぎます。

ラストは切なく眩しく微笑ましい。

実にいい小説でした。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 16:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 『お』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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