2009年01月07日

「もう切るわ」井上荒野

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妻と愛人のいる男が不治の病におかされます。

妻と愛人の視点が交互に入れ替わることによって物語りはすすんでいきます。

当然男の心理描写はなく、その言動は二人の女から見た客観的なものです。

妻は「私」、愛人は「あたし」という一人称で語られるのですが、最初はちょっとややこしかったですね。

あとがきを読むとそれも作者の意図するところだったようですが。

妻は夫に愛人がいることを知っているのですが、深く追求しようとはしません。

それは夫を愛していないからなのか、また自分にも愛人がいるという無意識の後ろめたさなのか。

やがて男は体も衰え、入院することになります。

妻が見舞いに来られない夜に愛人をその病室に泊めるなんて神経は男の私にも理解できませんがね。

タイトルにもなっている「もう切るわ」というセリフ。

その次の章の最後の男のセリフ。

愛人の最後の決心。

そして最終章に出てくる男の手帳のメモ。

それらがすべてつながっているように思え、私の心に引っかかりました。

妻と男はどっちもどっちという気はしますが、愛人の立場がちょっと切ないか。(笑)

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 10:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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