2009年07月23日

「金輪際」車谷長吉

短編集です。

どの作品も作者の偏執的ともいえるこだわりが物語を発生させていますね。

幼馴染みの○○君、××ちゃんの存在感。

彼らの当時のふとした言動が、現在大人である作者の心を今でさえ揺さぶり続けています。

表題作の「金輪際」でいえば、澤田君。

「静かな家」の井地君、雅子ちゃん。

当時の作者にとっては毎日の生活を左右するほどの存在だったのでありましょう。

大人の目からすればなんなりと対応の仕様もあるのですが。

しかし作者はそれを私小説(?)として、文学にまで昇華しておられます。

最後に収められている「変」など、これまた凄まじい。

「漂流物」が芥川賞候補作になり、それが落選したいきさつが書かれています。

「糞ッ、と思うた」作者は、入選したの「この人の閾」を毒にも薬にもならないとこき下ろし、選考委員の九人の人形を作り、丑の時に神社に行き「天誅ッ」と心に念じながら五寸釘を打ち込むのです。

もちろん九人の選考委員は実名で出てきます。

これが実話であるか創作であるかは作者のみ知るところでありましょうが、間違いなく実話でしょうね。(笑)

なんともまあ人間(作者)の心の闇を容赦なくさらけ出し、小説に仕立て上げる作者の怨念と力量に感服です。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 19:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 『く』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック