2009年10月14日

「永遠の途中」唯川恵

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薫と乃梨子は広告代理店に勤める同僚です。

どちらも同じ部署にいる先輩の郁夫に思いを寄せていましたが、薫が郁夫と結婚することになり専業主婦に。

乃梨子はキャリアの道を歩み続けます。

他人の庭の芝生は青く見えるように、薫は専業主婦の立場から、乃梨子は独身OLの立場から、お互いを羨ましく感じてしまうのです。

はたして自分の選んだ道は正解だったのかと。

嫉妬もし、ときには優越感も感じつつ。

対照的な二人の女性の生き方を描くというこの作者によくあるパターンの内容です。

お互い家庭や仕事でいろいろとあるわけですが、それを27歳から60歳という長期にわたって書いておられます。

この枚数でそれほどの長期間の人生を描ききるのはもちろん無理があり、重みも感じさせません。

はなっからそのようなじっくり腰を据えた小説ではないとわかっているのでそれはいいのですが、30年以上の年月を書いていながら時代の背景がまったく変わっていないんですよね。

まったく時代考証ができていないなと読み終えましたら、「おわりに」というあとがきで「これは時代を反映させていません。二十七歳のときも三十三年前ではなく「今」が舞台です。四十二歳も六十歳も同じです。なので、読まれた方は少し違和感を覚えるかもしれません」とあります。

なんだかあちこちから指摘を受けて慌ててフォローしたのではないかと勘ぐったりもするのですが。(笑)

しかし敢えて作者がそのように意図して書いたのなら、それはそれなりの読み方ができます。

30年前が今のような時代であったなら・・・・。

その当時では考えられなかった言動も今ならどうってこともなかったりします。

年齢という制限だけではなく、その時代の常識のせいでやむを得ず強いられた選択もあることでしょう。

「もし」「れば」の話になりますが、それが今という時代ならまた違った生き方もできたはずです。

時代考証という枠にとらわれずこのような書き方もひとつの手ではあるなという気はしましたが、2回目は通用しませんね。(笑)

そしてこの作者の小説のタイトルはよく意味がわからないのが多いのですが、この作品についてはまあなるほどと思えました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 07:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ゆ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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