大学生の透と耕二。
どちらも年上の人妻とつきあっています。
透は純愛です。
詩史のことしか考えられない。
付き合いの主導権を握るのは詩史。
つねに彼女からの電話を待ち、逢ってもバーで飲んで話すだけだったりします。
せっかく二人きりの時間を過ごしたいにもかかわらず。
耕二のほうは喜美子の体から離れられません。
逢うたびに激しい時間を過ごします。
同じ大学生の由利という恋人がいながら。
こちらは耕二が主導権を握っているようですが、しかし結局は喜美子に翻弄され、自分の手に負えない女だと気づきます。
対照的な二組を抑揚のないしっとりとした文体で描いています。
二人の視点がけっこう小刻みに切り替わり、うっかり読んでいるともう一人の視点に切り替わっていたりして。
そして回想シーンなんかも急に挟まったりして、ちょっと混乱するところもあります。
まあこれは読む側の集中力の問題かもしれませんが。(笑)
大きなドラマがあるわけでもなくラストもさりげないですが、とても雰囲気のある小説だと思います。
タイトルの「東京タワー」ですが、ちょっとこれは内容から遠い気がしますね。(笑)
ラストをうらぶれた夜景ではなく東京タワーにすればタイトルも生きて締りが付いたように思いますが、それではちょっとシーンにそぐわないか・・・・。
ラベル:小説