2009年10月19日

「アル中地獄(クライシス)」邦山照彦

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アルコール中毒症、略してアル中。

現在はアルコール依存症と呼ばれていますが。

アルコール依存症について書かれた本は多数ありますが、ほとんどが専門家や家族の立場から書かれたもので、患者の立場から書かれたものは皆無に等しいのだとか。

この著者はアル中による精神病院入退院回数36回という筋金入り(笑)の元アル中患者です。

この本では「アルコール依存症」ではなく、敢えて「アル中」という言葉を使っておられます。

患者自らがそのように呼んでおり、「依存」という相対性よりも「中毒」という合一性のほうが症状にぴったりするからとのこと。

本書の内容はさすがに自らの体験によるだけに凄まじい。

幻覚、幻聴、幻臭、幻触。

幻味以外はすべてに襲われたとのこと。

病室にて強烈な原色の世界に引きずり込まれ、激しい頭痛を覚え倒れた瞬間、頭蓋骨が砕け散り脳細胞が床一面に散乱。

悲鳴を上げながら夢中になって破片を拾い集めます。

その奇行をかたずを飲んで見守る他の患者たち。

脳細胞が飛び散ったので向こうの隅からほうきで掃いてきてくれと他の患者に頼む著者。

よし分かった、と協力してくれる患者。

しかしどうしてもあと一つが足りない。

泣きながら這いずり回り絶望していたそのとき、「トイレの前に落ちとるぞ」の言葉。

慌てて拾いにいって当てはめたものの、ベッドに戻るとまた脳みそが飛び散り・・そのまま失神。

しかしそんな禁断症状による幻覚を通り過ぎるとまったく正常な状態に戻るのだそう。

翌朝、「邦山さん、ゆうべは迫力あったぜ」「超Aクラスの禁断症状やな」「三時間くらいやってござったでな」

他の患者のお言葉です。

二十数名の人たちが著者の禁断症状に合わせてくださっていたのです。

著者は皆のことを「同志」と呼びます。

同病相哀れむ心優しき戦士たちと。

まったくすごい世界であります。

私も朝っぱらから酒を飲んでいる人間でして、まったく他人事ではないですね。

わかっちゃいるけど止められないでありますが、ぜひともこれは酒飲みを自認する人たちに読んでいただきたいです。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 14:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 『く』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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