2010年04月25日

「クーデター <COUP>」楡周平

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ロシアンマフィアから多量の武器を仕入れる宗教団体の「龍陽教」。

この武器を使ってクーデターを起こし、日本を牛耳ろうというのです。

と同時に北朝鮮も同じ組織から武器を仕入れるのですが、その船は北朝鮮領海近くで大爆発を起こし、監視していた米潜水艦を巻き込む事故となります。

一気に緊張が高まる中、「龍陽教」は作戦を開始するのです。

能登の原子力発電所近くで作戦を展開する「龍陽教」。

この状況の中ですから、世間は北朝鮮軍の上陸かと騒然となります。

パトカーを爆破し、機動隊を壊滅し、報道に駆けつけた女性キャスターの頭部を生放送のカメラの前で吹き飛ばす残虐ぶり。

この女性キャスターはカメラマンである主人公川瀬雅彦の恋人でした。

テレビでその生放送を見ていた雅彦は気が狂ったようになり、その後復讐の鬼と化すのです・・。

宗教団体がこの国を牛耳ろうという設定は、たまたま先日読んだ西村寿行の「鉛の法廷」と同じですね。

やはり当然自衛隊(出身者含む)にも信者がいます。

クーデターを起こすという物語上、これは必須の設定でしょう。

武器についてなどこの作家らしく綿密なデータを提示しており、作戦の組み立ても論理的ではあるのですが、ちょっと誇示しすぎな感もあります。

ですから逆にふとしたところで大きな穴を感じてしまうのですね。

例えば一見のごみ収集車が簡単に警視庁に入れたり、侵入した学校のPCをパスワード入れることなく使えたり。

台詞がやたら説明調なのも気になりました。

「龍陽教」がクーデターで大量の人命を奪った残虐さは言語道断ですが、しかし平和ボケした日本人にこの国の将来を悲観した教祖の気持ちもわからないではない。

単純に悪が国を乗っ取ろうとした図式でもないのです。

それは最後の教祖の台詞で表現されているのですが。

悪は悪なりにこの国を考えていたと。(笑)

ま、しかし、宗教家なら戦争や政治じゃなしにその教えをもって人々を導いてほしいですな。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 08:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 『に』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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