右京之介助太刀始末シリーズ第一弾。
江戸の町にまるで芝居の舞台から抜け出てきたような派手な格好の若侍が現れます。
田舎から出てきたアホな侍だろうと掏摸の弥太は目を付けるのですが・・。
その若侍こそ主人公の右京之介です。
なんやかんやいきさつがありまして、浪人の矢島平四郎も加わり、三人で助太刀稼業などやりつつ活躍(?)するわけですが・・。
高橋三千綱氏初の時代小説。
芥川賞受賞の「九月の空」をはじめ初期の作品はほとんど読みましたが、途中からはちょっと私の好みではない方向に行かれたので遠のいていました。
最近は時代小説を書いておられるとのことでどんなものかと読んでみたのですが。
面白い。
時代小説としてはノリが軽いですが、それはそれとしまして高橋氏の作風がよく出ています。
いつもながら作者自身を思わせるような飄々とした主人公。
正義感は強いが堅物というわけではなく、どこかつかみどころのない雰囲気がいかにもという感じです。
原題は「平成のさぶらい」。
物語の中にも右京之介がふと現代(平成の時代)の風景を頭に浮かべるシーンがあります。
原題からして右京之介には平成時代に生活していた過去(?)があるというような設定なのですが、それは作中では明らかにされていません。
しかしそんなSF的な設定は不要だと思うのですが。
そして右京之助が何者であるかもやはりわかりません。
名前も奥山と名乗ったり小田と名乗ったり松平と名乗ってみたり。
そのあたりは続編で明らかになっていくのでしょうか。
話にややまとまりのない感はありますが、エンターテイメントとしてまずまず楽しめました。
ラベル:時代小説