2010年05月21日

「逃亡くそたわけ」絲山秋子

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鬱から躁になった「あたし」こと花ちゃん。

ある日ふっと空白の一日があり、あの声が聞こえてきます。

「亜麻布二十エレは上衣一着に値する」

頭の中で淡々と繰り返されるこの声に、「そうだ死んでみよう」とすごく軽い気持ちで自殺未遂をおこし、精神病院に入院させられます。

こんなところで夏を終らせるのはいやだと、名古屋出身のなごやんを誘い脱走。

車での九州縦断の逃亡が始まります。

躁状態で引っ張る花ちゃんと、それに引きずられる形で付き合わされるなごやんの姿が滑稽です。

作中でひたすら「亜麻布二十エレは上衣一着に値する」が繰り返されます。

これはマルクスの「資本論」で有名な定式だそうですが、私はもちろんそんなことは知りません。(笑)

解説の渡辺直己氏によると非常に深い分析をしておられます。

なるほどそのように読めばこの小説はかなり緻密な計算で書かれているのですね。

さすがに私はそこまでは読み込めず、主人公とその男友達の自分を見つめ直し立て直すひと夏の旅の物語と読みました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 05:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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