連作短編集。
喜八郎は所帯道具にも事欠く庶民に鍋や釜や布団までも貸し出す損料屋という小さな商いをしています。
本来なら年寄りの生業ですが、喜八郎はまだ若い。
実は損料屋は仮の姿なのです。
札差の米屋の先代が二代目を陰で支えてくれるよう買い与えた店なのでした。
米屋の建て直しから始まり、伊勢屋の悪巧みを暴いたり、恩のある板前を手助けしたり。
そんな喜八郎の活躍を侠気と粋を感じさせる文章で読ませます。
登場人物それぞれの生業による言葉遣いの書き分けも細かい。
いいですねぇ、山本一力。
直木賞受賞の「あかね空」でファンになりまして、せっせと著作を揃えています。
今後も順を追って楽しみに読み続けていきたいと思います。
ラベル:時代小説