2010年09月04日

「美食のテクノロジー」辻芳樹

Cimg1366

著者は辻調理師専門学校校長です。

いまや伝説の人物とも言える辻静雄氏のご子息ですね。

そんな著者が世界の頂点に立つ6人の料理人を取材しておられます。

デーヴィッド・ブーレイ(ブーレイ)、和久田哲也(テツヤズ)、サンティ・サンタマリア(エル・ラコ・デ・カン・ファバス)、ミシェル・ブラス(ブラス)、アラン・デュカス(アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ)、高橋英一(瓢亭)。

すごい顔ぶれです。

それぞれの料理人が現在の地位を築いておられるからには、当然のことながらその料理人ならではの「美食のテクノロジー」があるはずです。

著者は料理人の生い立ちやら現在の状況を分析し、そのテクノロジーに迫ります。

当たり前のことですけども、どの料理人もしっかりとアイデンティティを持っておられるのですね。

例えばミシェル・ブラスならライオールという生まれ育った土地にこだわります。

この土地で料理を作ることはビジネスではなく、人生そのものだと言い切ります。

そういう土地に根ざしたどっしりとしたものを持っておられるんですね。

やたら流行に乗る若い料理人が多勢います。

「エル・ブリ」のフェラン・アドリアに影響を受けた料理が巷に溢れ返りましたけども、サンティ・サンタマリアは言います。

「アドリアはこの世に二人は存在しないということ。(略) メディアがそれを正確に伝えないから、若い料理人が自分にもできるだろうと勘違いしてしまう。アドリアの本質的なすごさをわからずして、表面的な真似だけをして先を急ぎ、見た目で人を驚かせるような料理ばかりを作ってしまう」

アラン・デュカスも言います。

「アドリアは自分自身の物語を語れる卓越した存在だからです。問題はだれもがアドリアの料理の哲学を理解し、それを自分の料理に生かすことはできないということです」

あちこちの店で「ほんの一さじの泡のような料理」が出されることに苦言を呈しておられます。

まったくごもっとも。

フェラン・アドリアのパクリがあちこちに現れたときには冗談でやっているのかと思いました。

創作居酒屋なら面白いと思いますけども。(笑)

レストランとして堂々と「エル・ブリ」風料理を出しておられる。

いったいその料理はあなたのどこから出てきたのですかと。

どこからも出てきてはしません、流行だからやっているだけです。

ここで紹介されている料理人たちはそんな上辺の仕事はしておられません。

テクノロジーというとハードな技術面をイメージしがちですが、この本ではそういうことではなく料理哲学といったようなソフト面を主に取り上げておられます。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 05:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 『つ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック