2010年10月20日

「人類法廷」西村寿行

Cimg1452

法廷シリーズ第三弾。

といっても前二作とつながりはありません。

上高地大虐殺事件。

バス三台の運転手を狙撃し崖に転落させ、後続のバスから逃げ出す人々も射殺。

死者百五人、重軽傷者五十四人。

未曾有の大事件です。

犯人は沼田光義。

しかし沼田は犯行当時アルコールに酩酊しており、心身喪失状態として裁判では無罪を言い渡されるのです。

これだけの犯罪をしでかしておいて無罪などとは誰もが納得いきません。

母と妻と六歳の娘をこの事件で殺された真琴悠平は、人類法廷を立ち上げて沼田を裁くこと決意します・・・・。

真琴悠平の考えに賛同した強力な支持者が集まります。

経済的な支援を買って出た神崎四郎。

昔は鬼のデカ長と恐れられた念沢義介。

真琴と同じく妻子を殺された元空挺団員の雪江文人。

県会議員でお調子者の関口朝太郎。

沼田が犯罪を犯した動機が重要な鍵となります。

動機がなければただのアル中の心身喪失で無罪として片付けられてしまうのです。

沼田は動機などなく、単なるアル中ゆえの犯行だったのか。

そんなわけはなく、どんな動機があり未曾有の大事件をしでかしたのか。

複雑に事件に絡み合う人物たちの関係は。

人類法廷は独自の調査を開始し、ことごとく警察や検察を出し抜きます。

その行方は・・・・。

派手なドンパチはありませんが(笑)、西村寿行らしい強烈なメッセージがあります。

誰に強要されたわけではなく、自ら陥ったアルコール中毒、薬物中毒。

そんな連中が人を殺して無罪などと、これほど馬鹿な話はない。

心神喪失だなんだと犯罪者を守るなど、刑法自体が間違っている。

精神鑑定医などになにがわかるのかと。

自分が精神病院に入院すべき医師さえいると。

胸のすくような寿行節が味わえます。

たしかにそうですよね。

そのとき泥酔していればやったことはチャラになるのかと。

精神病なら許されるのかと。

被害者にとってはやられ損です。

たまったものではありません。

そのようなことを決して許さない男たちが活躍してくれるのです。

私は西村寿行のファンでして、好きな作家で誰を一番に挙げるかといえば寿行さんかもしれませんね。

なので寿行作品にはかなり甘いんですよねぇ。(笑)

女性の人格なんて完全に無視されていますし、いろいろと突っ込みどころはあります。

しかしそんな細部にいちいちツッコミを入れていたら楽しめないのが寿行作品でもあります。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 05:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 『に』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック