連作短編集。
主人公はその都度変わるのですが、伊良部一郎という精神科医が共通して登場します。
その伊良部一郎のもとにいろんな悩みを抱えた患者(主人公)が訪ねてくるという形で話が始まります。
水泳依存症の男、勃起しっぱなしの男、自意識過剰で被害妄想な女、携帯電話依存症な男子高校生、タバコの火が気になってすぐに家に戻ってしまう男・・・・。
どう見てもまともな医者とは思えない伊良部一郎ですが、ふとしたことに思わず信頼を置いてしまう患者たち。
しかし言動はやはりまともではないわけで・・・・。
軽いノリで面白く読めました。
伊良部一郎のキャラがいい。
ちょい役の看護婦マユミちゃんも。
現代人の抱える心の問題を鋭く風刺・・・・というような分析もできるでしょうし、そのような意図も作者にはあるでしょう。
でも単純に主人公の悩みに「そんなことあるある」と思いつつ、伊良部一郎の天然か計算し尽されてかの言動を楽しむのがいいかと思います。
なかなか楽しめる一冊でした。
これはぜひ続編の「空中ブランコ」も読んでみたいですね。
ラベル:小説