第1回日本ラブストーリー大賞受賞作。
大賞賞金はなんと500万円。
「群像」や「文学界」の賞金は50万円だというのに・・・・。(笑)
さて内容です。
友寄明青は沖縄の与那喜島に住む一人暮らしの青年。
そんな明青のもとに幸という女性から一通の手紙が届きます。
「私をあなたのお嫁さんにしてくださいますか」
四ヶ月前、北陸の遠久島に島民一行と訪れたとき、そこの神社で冗談半分に「嫁に来ないか。幸せにします」と絵馬に書いたのです。
それを見て幸という女性は手紙を送ってきたのでした。
そして実際に訪れた幸はえらい美人で・・・・。
明青、飼い犬のカフー、幸、明青の家の裏に住み食事の世話をしてくれている巫女のおばあ。
三人と一匹の生活が始まります。
お嫁にしてくださいとやってきた幸に対して、その真意を問いただせないまま夫婦でも恋人でもない関係で暮らしていく明青。
そこにリゾート開発による立ち退き問題も絡んできて・・・・。
パターンとしては昔の少年マンガのような設定。
とくに取り柄のない男の子の主人公に、なぜかとびっきりかわいい女の子が幼馴染みとかの設定でいつもそばにいてくれてるみたいな。
少女マンガにもそのような逆の設定がありました。
現実にはそんなことあるわけない。(笑)
絵馬を見てお嫁さんにしてくださいとやってくる女性。
どう考えてもヤバイ人です。
ま、そんなこといってたら話になりませんのでその設定を受け入れまして。
でもなかなかいいんですよこれが。
なにがいいのかなと考えましたら、主人公はほとんどこの島から出たことないような人物です。
ですから話の内容もほとんどこの島の中だけで進行します。
俗な物が出てこないのがいいんですよね。
南国的開放感な舞台設定に癒されるんです。
そしてやはりピュアな展開でしょうか。
明青がついに幸と体を重ねて・・・・なんてありませんから。(笑)
幸の素性が明かされないことにちょっとミステリアスな要素もありますしね。
昔のコバルト小説を思わせる雰囲気のある作品です。
ちなみに作者の原田マハ氏は、原田宗典氏の妹さんとのことです。