2011年06月07日

「近くなった町」秋山ちえ子

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十六の作品が収められている短編集。

著者曰く、「嘘半分、本当半分の随筆」とのこと。

ご本人の出会いを基に話を膨らませた創作です。

表題作は盛岡に通う男の話。

東京に住む男は寿司屋を営んでいますが、妻や息子から店を改造しようと持ちかけられます。

カラオケバー併設などという話も。

寿司を握ることしかできない男は、すべておまえたちに任せると息抜きに盛岡に出かけます。

家族の中での疎外感を感じつつ。

そこで蕎麦屋で働くえくぼの女と出会い、盛岡へ出かけるたびにその店に寄るのです。

恋愛というほどではありませんが、男の心に小さな暖かい火がぽっと灯るような話です。

他の作品も同じくで、大きな起承転結はなく、さりげない日常を切り取ったような内容。

どの話にも登場人物の名前は出てきません。

「男」、「女」と記されるのみです。

それが読者に線引きをもたらし、物語を「ある男と女の話」といったさりげなさに留めているのですね。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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