元教師の鈴木は、ある非合法な組織の社長の馬鹿息子に轢き逃げで妻を殺されます。
しかしその馬鹿息子は父親や政治家の力で罰せられることはなかったのです。
鈴木は復讐のため、馬鹿息子のいる組織『令嬢』に契約社員として入り込みます。
ところが鈴木の目の前で馬鹿息子は何者かに車道に押し出され、車に轢かれて死んでしまうのです。
「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしく、復讐を横取りされた形の鈴木は「押し屋」を追います。
それと同時に他の二人の殺し屋の話も進んでいきます。
ナイフの使い手である「蝉」。
ターゲットを自殺に追い込む特殊な能力を持つ「鯨」。
その二人もそれぞれの思惑から「押し屋」を追うことになるのです。
「押し屋」の名前は「槿(あさがお)」。
三人の殺し屋たちの三つ巴の戦いに鈴木も巻き込まれて・・・・。
それぞれの人物が一点に向かって収束していく展開はやはり伊坂幸太郎ですね。
ハードボイルドな内容ではありますが、それほど陰鬱感なく軽妙なセリフのやりとりやスピーディーな展開でユーモラスに読ませるあたりはこの作者の持ち味でしょう。
ラストはやや暗示的。
鈴木の行く末は決してすっきりと晴れやかなものではないですね。
ラベル:小説