2012年01月08日

「グッドラックららばい」平安寿子

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「わたしね、これからちょっと、家出しますから」

ふらりと出て行った家族のお母さんこと鷹子。

それを飄々と受け止める、会社でも地味な存在のお父さん信也。

だらしない男に貢ぐのが好きでセックス三昧の長女積子。

金持ちになることが人生のすべてのように考えている次女の立子。

お母さん(妻)の家出という出来事を柱にして、そんな四人の家族の生き様を描いています。

鷹子はまず旅芸人に付いていき、その先で旅館の女将さんになり、土建屋で若夫婦や従業員の面倒を見・・・・なんてことをやっているうちになんと二十年。

ちょっとの家出が、二十年後に我が家に帰ってくるのですね。

その間、信也は相変わらずのらりくらり。

積子もやはりいろんな男を乗り継いで、挙句の果ては三十八歳にもなって高校生の男と付き合っています。

立子は金持ちと結婚するものの、詐欺にあったり浮気がばれて離婚。

しかし転んでもただでは起きない負けん気の強さで、信也とともに会社を立ち上げます。

なんとまあそれぞれのマイペースな生きかたでしょうか。

ここには家族四人揃って力を合わせて・・・・というような暑苦しいテーマはありません。

それぞれが好きなように生きているのですね。

まったくバラバラです。

でも当然です。

家族といえども所詮はひとりひとり個人なのですから。

しかし根本ではしっかりと繋がっている。

お母さん(妻)の二十年もの家出という設定がすごいですし、その二十年の内容も飄々と味わい深く描かれています。

それにもめげない家族もまた力強い。

これを柳美里が書くなら(書かないですけど)とてもこんなユーモラスな雰囲気にはならず血の滲むような内容になるでしょうが(笑)、このように淡々と面白く仕上げたのは作者のセンス。

562ページの分厚さもなんのその。

まったく退屈することなく楽しめました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 19:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 『た』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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