2012年02月20日

「しかたのない水」井上荒野

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フィットネスクラブに集まる男女を主人公にした連作短編集。

それぞれの登場人物がリンクしています。

淡々と女を乗り換える若い男、出会い系で男を誘い待ち合わせ場所ですっぽかして様子を楽しむ人妻、受付嬢を愛人にし弄ばれる脱サラの中年古本屋、プールで会うビキニパンツの若い男を思い毎晩自慰に耽る中年女などなど・・・・。

すべて男と女の関係が描かれているわけですが、どこか歪んでおり不穏な雰囲気が漂っています。

それを静謐な筆致で淡々と書いているあたり、まさしく井上荒野の世界ですね。

「サモワールの薔薇とオニオングラタン」や「クラプトンと骨壷」などなんとも後味が悪かったりするのですが、「フラメンコと別の名前」などは曇天から陽が射し込むようなラストだったりします。

不安定なバランスの上に成り立っている奇妙なバランス。

そんな印象を受けました。

けっこう出来不出来の差が大きい作家だと思いますが、これはよかったです。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 19:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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