帝国ホテルの総料理長だった著者の自伝です。
ホテルオークラの小野正吉氏と並んでフランス料理界の重鎮でしたね。
料理人の自伝は今まで何冊も読んできましたが、どれもパターンは同じです。
どんな少年時代だったか、料理と出会ったきっかけは、なぜ料理の世界に進んだのか。
そしてどこそこのどのような店で修行してきたのか。
この本もそのパターンではあります。
しかし今まで読んできたスターシェフらの本とはひと味違います。
それはやはり時代もあるでしょうし、それに伴った経験の違いもあるでしょう。
戦場での話なんて他の料理人の本ではなかなか読めません。
東京オリンピック選手村食堂の料理長就任や、エリザベス女王をもてなした経歴などはさすがです。
そしてなにより氏のお人柄がとてもよく伝わってくるんですね。
多趣味であり、生涯現役の料理人として過ごされた著者の功績と魅力を知ることのできる一冊です。
ラベル:グルメ本