タイトルの通り、一月から十二月まで季節に合った食材を取り上げたエッセイです。
よく味を表現するのに滋味という言葉がありますけども、いい食エッセイにはそのようなものを感じるのですね。
じゃあどういうのがいい食エッセイなのかといいますと答えに詰まるのですが。
私なりにいろいろと言えるのは、まず本当に食べることが好きだと感じられること。
美食家である前に食いしん坊であることですね。
なので自慢げに食経験を披露するのは鼻に付きます。
どこそこの高級寿司屋で食べた貴重な本まぐろのトロがいかに旨かったかを語るより、自分で焼いた旬の焼さんまの旨さを嬉しげに語るほうがよほどいい。
鴨の血のソースを伝統としたフランスの料理店で、これ見よがしに山葵醤油で食べたということを得意気に語った某食通など野暮の骨頂でしょう。
などなどいろいろあるのですが、話が逸れましたね。(笑)
最初に戻りまして、やはり読んでいて滋味を感じる文章がいい。
この本は時代が時代ではありますが、そのような滋味があります。
ラベル:グルメ本