2012年07月14日

「暗渠の宿」西村賢太

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表題作他1編収録。

まず最初の「けがれなき酒のへど」はデビュー作。

ひたすら普通の彼女が欲しいと願う主人公。

私小説ですのでもちろん作者がモデルです。

せっせとフーゾクを利用し、そんな相手を求めます。

やっとこさソープランドで理想の女性を見つけ、下心を隠しつつ紳士ぶってせっせと献身するのですが、結局はまんまと利用され大金を巻き上げられてしまいます。

そんな主人公でありますが、ちゃんと女性と付き合い、同棲していたこともあるのです。

それを描いているのが表題作の「暗渠の宿」。

とにかくまあ彼女に対してわがままで暴力的で自己中心的なこと。

小説として読んでいるぶんには面白いのですが、実際にはこんな男たまったものではありません。

私小説というもののどこまでが事実かはわかりませんが。

さて、どうしてもこの作者と比較される作家に車谷長吉氏がいます。

私の感想としましては、なんといいますか味わいが違う。

味わいといいますか、襞の数が違う。

車谷氏のほうが味わい深く襞が多いと感じるんですね。

中上健次と比べますと通俗的すぎます。

自分を模索する深さが違う。

なんといいますか、私小説といえどもけっこうエンターテイメントしてるんですよね。

ある意味ギャグとしても読めます。

意識してかどうかはわかりませんけども。

でも時代もあり作者のルーツもあり、これが西村氏の作風。

比べること自体間違っているのかもしれません。

なんにせよ今後も読み続けていきたい作家です。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 02:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 『に』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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