2012年08月26日

「この人の閾(いき)」保坂和志

Cimg1986

短編集です。

表題作は芥川賞受賞作。

30代後半の主人公は仕事である人物を訪ねるのですが留守にしており、時間をつぶすために同じ街に住む10年ぶりの女友達を訪ねます。

その家で草むしりをしたり学生時代の昔話をしたり家庭の話をしたり。

まあそれだけの話なんですけどね。

閾というのは「門の内と外をくぎる境目」とか「精神的な感覚の境目」とかそのような意味があるようです。

要は境目とか境界線といったことなのですが、誰しも生活においてそのようなものを持っているはず。

その人にはその人の閾があるはずです。

庭付きの家に住む専業主婦のそんな閾をこの作品は描いています。

車谷長吉がこの作品に芥川賞を取られ嫉妬し「毒にも薬にもならない」とこき下ろしましたが、まあわからないでもない。(笑)

特になにが起こるでもなくゆらゆらのんびりとした日常と会話があるだけです。

他の収録作もみんなそう。

しかしそれがなんとなくぬるま湯のようなそよ風のような、うとうとするような心地よさにも感じられるんですよね。

純文学ならではでしょうか。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 06:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ほ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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