1985年8月、群馬県御巣鷹山に日航ジャンボ機123便が墜落しました。
乗客・乗員合せて520人という史上最大の航空事故です。
地元である『北関東新聞』社内は喧騒の坩堝となります。
そこで記者をしている主人公の悠木はこの事故に関しての全権デスクに任命されます。
悠木は同僚の安西と『衝立岩』という岩壁に登る約束をしていたのですが、それどころではありません。
約束を破ることになってしまいました。
詳細がわからないながらも怒涛のごとく次々と入ってくる情報。
デスクの悠木は慌しく事件に巻き込まれていくのですが、そんな中、安西が病院に運ばれたというのです。
安西になにが?
そして史上最大の航空事故と向かい合うことになったデスクの悠木は、社内の軋轢の中でどのような記事を生み出していくのか・・・・。
実在の事故に材を取った小説です。
ちなみに作者は当時地元の新聞社で記者をしておられたとのこと。
なので実体験が元になっているんですね。
最後まで弛むことのない息詰まる緊迫感は、まさしく事故を目の当たりにしたこの作者にしか書けないものでしょう。
墜落事故を物語のメインとし、そこに新聞記者といえどもサラリーマンという組織の一員である悲哀、そして家族の絆などが描かれています。
私はこの作者の作品はまだこれで2冊目なのですが、渾身の一冊という感を持ちました。
読んでよかったと思えた小説でした。
ラベル:小説