水原雅也の父親は閉鎖した工場と借金を残して自殺します。
葬式にやってきた叔父は生命保険の金を目当てに借用書をちらつかせます。
そんなときにあの阪神淡路大震災が襲ったのです。
雅也は瓦礫の下敷きになった叔父のポケットから借用書を抜き取り、まだ息のあった叔父の頭に瓦を叩き付けて殺害します。
「これで借金はちゃらになる・・・・」
ところがそれを目撃していた女がいたのです。
女の名前は新海美冬。
二人は一緒に行動するようになり、東京に出ます。
美冬はその美貌と頭のよさを武器に、そして犯罪にさえ手を染め、どんどんと社会の上へと登っていきます。
もちろんその手伝いをするのは雅也です。
しかし雅也は美冬のあまりにも大胆で冷めた行動に逡巡し、自分に対する愛情に疑問を持ちます。
そしてそもそも美冬という女は何者なのか。
美冬の行動を訝しみ周辺を嗅ぎ回る刑事、そして雅也もまた美冬の正体を知ろうとするのですが・・・・。
この作品は「白夜行」の続編といわれていますね。
「白夜行」を読んだのはずいぶんと前であまり内容は覚えていないのですが、そういえば美冬と「白夜行」の雪穂のキャラは共通しています。
まあ続編であろうがなかろうがどちらでもいいのですが、私はこの作品のほうがよかったです。
細かいツッコミどころはありますが、しかし780ページというブックカバーに収まらない分厚さにもかかわらず(笑)、まったくだるさを感じさせずに読めました。
これはこれで独立した作品として、誰しもが楽しめる佳作ではないでしょうか。
ラベル:小説