2013年09月28日

「魔の牙」西村寿行

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仕事帰りの銀行支店長を拉致し脅して金庫を開けさせ、1億8千万円を奪った中原と長島。

二人は逃亡し、長島は警察に捕まりますが中原はどうやら南アルプスに姿を隠したようです。

刑事の涸沼凉介は台風が近づいているにもかかわらず、中原を追って南アルプスに入ります。

山中で暴風雨に見舞われ、涸沼はどうにか鹿沢荘という湯治場に避難します。

そこにいたのは経営者夫婦、わけありの老夫婦、女の一人客。

涸沼と同じく暴風雨に巻き込まれ避難してきたのは女子大生4人組、東京地検の検事、犬を連れた地元の漁師、新婚夫婦、会社員と名乗る男。

長島から情報を得て中原から1億8千万円を奪おうと跡を追って来た暴力団4人組まで。

そして最後にやって来たのが犯人の中原。

外には出られず外部と連絡も取れない孤立した山荘にいろんな人物が集まります。

しかし激しい暴風雨に山荘はだんだんと崩壊していきます。

それだけではなく絶滅したはずの日本狼の群れが山荘を取り囲むのです。

狼たちは狂犬病に冒されており、建物が崩壊すれば皆の命はありません。

閉じ込められた山荘の中で、人間たちはパニックになりながらどのような行動を取るのか・・・・。

ミステリーのジャンルとして“吹雪の山荘もの”というのがありますけども、この作品のシチュエーションはまさしくそれですね。

普通ならこの中で1人ずつ殺されてゆき、犯人は誰だとかどのような方法でとかなるわけですが、さすがに西村寿行はそんなのは書きません。

書かれるのは極限状態に置かれた人間の心理ですよね。

そして狂気、自身の生き様など。

こうなると寿行作品として当然女は男に体を投げ出すことになります。(笑)

それはともかくとしまして山荘が崩壊していく描写も緊迫感がありますが、なにより日本狼を配置するあたりが西村寿行ですね。

最後はどのようになるのだろうと思っていたら、う~ん、そのような結末に・・・・。

これもやはり西村寿行らしいラストだと思いました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 06:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 『に』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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