2013年10月29日

「切れた鎖」田中慎弥

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短編3編収録。

表題作の「切れた鎖」がページ数の半分以上を占めています。

昔、海辺の村で栄えた『桜井の家』。

コンクリートで財をなしました。

しかし今はその繁栄もありません。

その桜井の家の女である梅代は、出戻りの娘美佐子と孫の美佐絵と3人で暮らしています。

家の裏にはいつの間にか建った在日朝鮮人の教会があります。

昔、養子の夫がその教会にいた女と深い仲になり家を出ていき、それ以来ずっと教会を憎悪しながら、現在は娘、孫娘との生活を営んでいます・・・・。

他の収録作もそうですが、どれも暗いですね。

曇天のイメージです。

そしてシュール。

作者の田中慎弥氏といえば、芥川賞受賞式で「もらっといてやる!」と不機嫌に言ってのけたことで一躍有名になりました。

今回氏の作品を初めて読んでみたのですが、ちょっと予想外。

暗いだろうなとは思っていましたが(笑)、このようなシュールな作品を書かれていたとは。

「蛹」など地中のかぶと虫の幼虫の視点で書かれています。

「不意の償い」は被害妄想のオンパレードですし。

読んでいてふとイメージしたのが中上健次中村文則西村賢太といったところ。

いちばん遠いのは西村賢太でしょうけど。

この不穏で鬱屈したような作風は貴重ですね。

他の作品もぜひ。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 『た』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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