舞台は本土から隔離されたような遊郭のある島です。
ヘドロの匂いに満ち溢れたそんな島に暮らす白亜とスケキヨという姉弟。
2人は相手の存在が自分のすべてのように感じながら寄り添って生きています。
しかし年頃になった2人は別々に売られて離れ離れになってしまうのです。
白亜は遊女に、スケキヨは裏華町に売られ陰間に。
離れてしまってもつねにスケキヨのことを思う白亜。
客に体をゆだねて無機的に毎日を過ごそうとしますが、どうしてもスケキヨのことを思ってしまいます。
スケキヨについてのいろんな話が耳に入ってきて、もうスケキヨは自分のことなどなんとも思っていないのだろうとできるだけスケキヨのことは忘れようとするのですが・・・・。
時代ははっきりと示されていません。
明治や大正の雰囲気がありますね。
国はおそらく日本でしょうが、どの地方とも書かれていません。
もしかしたら日本ではないかもしれない。
そして島に伝わる伝説なども絡み、退廃的で閉鎖的な空間で独特な世界を構築しています。
白亜とスケキヨが実際に血の繋がった姉弟かどうかは定かでないのですが、姉弟の愛と異性の愛の狭間を揺れ動くような描写は耽美的でもあります。
この作品は第21回小説すばる新人賞を受賞したデビュー作。
そりゃこんな作品が応募されて読まされれば授賞させないわけにはいかないでしょう。
すごいなと思いました。
ラベル:小説