夕陽は男子校の中学2年生。
24歳の雪枝と知り合います。
メールのやりとりをしたり、ボーリング場、ゲームセンター、真昼のファミレスなどで合うような付き合いです。
そんなある日、一人暮らししている雪枝の家に来るよう誘われます。
訪問してみると4年前から雪枝に飼われている19歳の聡という男がいました・・・・。
ちょっと暗い青春小説(?)です。
雨の日が怖く“灰色の点々”に怯える中学生。
働かずに家賃収入で一人暮らしする24歳の女。
そんな女に飼われている19歳の男。
爽やかさとはほど遠い設定です。(笑)
雪枝はトクベツな自分になりたいと思いつつ、しかし自分はなにほどの人間でもないということをわかっており、もがき苦しんでいます。
19歳の聡は家からほとんど出ることもなく、世間的にはペットの動物レベルです。
中学生にしては理知的な夕陽がいちばんニュートラル。
ちゃんとした家庭がありますし。
名前は黄昏ていますけども。
リアリティのあるシチュエーションではありませんが、明るくときめくだけが青春ではありませんしね。
一歩間違えると犯罪小説ですが(笑)、それをまあどうにか自分探しの青春小説に置き換えておられます。
この作者の他の作品の感想でもよく書いているので重複するのですが、どこかノスタルジックで切ない雰囲気がやはりこの作品にもあります。
というか、これが豊島ミホの持ち味でしょうけど。
ラベル:小説