国語の教科書に出てくるような本というのは、どれどれと読んでみても途中で投げ出したり最後まで読んでも退屈であまり面白いと思えなかったり。
そういうことが多々ありました。
しかし今ならまた違った感想を持つことができるのではないかと。
というわけで既読未読に関わらずそのような近現代文学の代表作をぼちぼち読んでみようかと、まずは夏目漱石「吾輩は猫である」です。
夏目漱石のデビュー作。
中学校の教師をしている苦沙弥先生に飼われている猫の視線で書かれた小説です。
苦沙弥先生の家に集まるいろんな人たち。
主人の苦沙弥先生も含めてこれがひと癖もふた癖もあるような人たちです。
家にやって来ては馬鹿な話ばかりしている。
それを淡々と書いているのですが、落語の八っつぁん熊さん的なノリがありますね。
そしてほとんど主人の家の中での描写ですので、客席から舞台を見ているような、あるいは昔のお茶の間ドラマのような趣もあります。
話自体は何がどうというわけでもなく、ストーリーが進んでいくというような内容でもありません。
その場その場の単発的なエピソードを楽しむといいますか。
なので長編小説よりも連作短編集としたほうがまとまりがよいとは思いますが、そうするとこの作品のだらだらとした味わいというか重みはなくなってしまうのでしょうね。
そして作者が当時の世間に対して教養を駆使しつつ皮肉を交え、たっぷりと批評しておられます。
そんな内容が改行少なくびっしりと540ページ。
ちょっと長過ぎです。(笑)
ちなみに※印による注解は545もあります。
ところでこの作品のラストはこんなのだったんですね。
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」という有名な冒頭に比べ、ラストはあまり知られていないような。
ラベル:小説