時代は昭和12年。
陸軍にスパイの養成学校が設立されます。
諜報員養成所、通称“D機関”。
陸軍上層部の猛反発がありながら、立ち上げたのは結城中佐。
軍隊の規律にはまったく当てはまらない信条で精鋭たちを育てます。
結城中佐の指揮の下、精鋭たちはさまざまな問題に挑みます・・・・。
長編だと思っていたら連作短編の形式でした。
なので読み始めて「これはなかなか・・・・」と期待していたらぷっつりと短く終わってしまい、ちょっと肩透かし。
やはりこれはガッツリと長編で読みたかったです。
大きな事件の核心に精鋭たちが死力を尽くして近付いていくみたいな。
でもこれはこれでいろんなエピソードで楽しめたのでまあいいかと。
文体にしても内容にしても、さすがにストイックな雰囲気があります。
なにしろ諜報員はすべて偽名で、養成所の仲間同士であっても本名や経歴を知らないという世界です。
ただし最後の「XX ダブル・クロス」だけがやや異質。
冷酷に徹するべき諜報員の心情の揺れが描かれ、結城中佐もラストにほろっと人間味を見せます。
続編の「ダブル・ジョーカー」も読んでみたいと思いました。
ラベル:小説