勤勉なサラリーマンの河合譲治は二十八歳。
カフェで女給をしていた十五歳のナオミを見初め、この少女を引き取って教育し自分好みの女性に育て上げようとします。
やがて妻にしたのはいいのですが成熟していくにつれ妖艶さを増し、その魅力にとりつかれた譲治はナオミに翻弄されます。
贅沢三昧をし、平気で他の男と遊ぶナオミ。
そんなナオミをなんとか引き付けておこうと、譲治の生活はどんどん崩れていきます・・・・。
昔から女で身を持ち崩す男というのはよくいるわけで、その場合の女というのがまた知性も教養も常識もあるしっかりとしたタイプではなく、パッパラパーだったりするわけですね。
体だけしか取り柄が無いような。
しかし男はそんなのにムラムラと惹かれてしまったりする。
この作品のナオミというのもまさにそんな女で、頭が悪く貞操観念が無い。
いわゆる公衆便所というやつです。(作中でもそれらしい表現が出てきます)
ですがプライドや物欲は人一倍。
そんなナオミに振り回され、身を持ち崩していく譲治の情けなさが読みどころです。
男と女というのは今も昔も変わりませんね。
で、これを読みますとやはり谷崎はマゾだったんだなぁと思えます。
肉体的にはどうかわかりませんが、精神的には女性を崇拝してひれ伏す性癖があったのは明らかでしょう。
創作とはいえそれが滲み出ています。
脚フェチですしね。(笑)
谷崎の文学というと文豪の小説として取っ付きにくく思われがちですが、なんのなんの。
人間の俗物さや性欲を赤裸々に描き、なかなかエンターテイメントしています。
ラベル:小説