司法試験に何度も失敗してぶらぶらしている26歳の健太郎と30歳でフリーライターをしている姉の慶子。
二人は特攻隊で亡くなった祖父である宮部久蔵のことを調べ始めます。
いくつかの戦友会に宮部のことを知っている人がいるかどうか手紙を出し、返事が来た何人かと会うことになります。
最初に会った人は、あいつは逃げ回っていた臆病者だと言います。
それを聞いて萎えてしまう二人。
しかしその後も何人かに話を聞いて回るつれ、だんだんと宮部の人間像が浮かびあがってきます。
国のために死ぬのが当たり前という風潮だった当時において、宮部はひたすら生きて家族のもとに帰るのだと主張し続けていたのでした。
特攻隊への半強制的な志願も拒否し続けていたのです。
そんな宮部がなぜ特攻隊で死ぬことになったのか・・・・。
力作ですねぇ。
感動しました。
ですがかなり賛否が分かれているようですね。
特攻隊や戦争を美化しているというような意見に関しては、さすがにそれはありえません。
どこをどう読んでもそんな話は出てこない。
むしろ戦争の悲惨さ、軍上層部の浅はかさや冷酷さ、特攻という行為の愚かさをくどいほどに主張しています。
右傾という批判もあるようですが、主張としてはむしろ左傾でしょう。
人それぞれ考え方が違いますので感想も違ってくるのは当然のことですけど。
映画については観ていないのでなんとも。
私は実にいい小説だと思いました。
ラベル:小説