東京六大学野球で連戦連敗の東大野球部。
しかしそんな彼らをひたすら応援する東京大学運動会応援部。
その姿勢は半端ではありません。
しごきあり、体罰あり。
通学も学ラン着用。
時代錯誤といってもいいような世界です。
彼らはいったい何を求めているのか、何を目指しているのか・・・・。
読む前は辛気臭く暑苦しい内容かなと思っていたのですが。
いやいや、感動しました。
暑いというか熱いんですね。
ほろっと泣いてしまうシーンもありましたし。
このひたむきさ、ストイックさ。
イメージされる現代の大学生とは程遠い世界です。
しかし著者の取材はいつもながら綿密ですね。
過去に「絶対音感」と「星新一 一〇〇一話をつくった人」の2冊を読んだだけですけども、登場人物がめちゃくちゃ多い。(笑)
それらの作品に比べるとこれはほぼ応援団内部に限られているので、まだましなんですけども。
あらゆる関係者を取材し、いろんな角度から徹底的にモチーフを浮かび上がらせています。
ただその分、構成にまとまりがない気はしますが。
この本が単行本で刊行されたのは2003年。
ですが2007年の文庫版あとがきには「本書に書いた日々は、フィクションどころか、いまやファンタジーかもしれない」と嘆いておられます。
それほど東大に限らず大学の応援団が急激に軟派になってしまったんですね。
取材時の彼らのような学生たちがいなくなるかもしれないことに対して、「だれか、いや、それはちがう、といってくれないか」と結んでおられます。
ラベル:ノンフィクション