割烹近茶流宗家の著者が日本全国を巡り、四季十二ヶ月の料理を紹介した食エッセイです。
この本は昭和56年に出版された文庫版ですが、単行本として出版されたのは昭和40年。
取材は昭和30年頃からとのこと。
料理だけではなくその土地の伝統や風俗といったものも紹介されているのですが、さすがに文庫版のためのあとがきではそのあいだにずいぶんと変貌したことを嘆いておられます。
漁場が埋め立てられてマンションが建ったり、交通網の発達により便利になったのはいいものの詩情がなくなってしまったり。
食文化自体も廃れてしまったり、今となっては取れなくなってしまった食材もあったりします。
なんとも寂しい話ですね。
この本が出た時点でそうなのですから、現在に至っては・・・・。
なので地方の食文化を記録として残すという意味では貴重な本でありましょう。
白黒ながら各章に写真も添えられています。
紹介されているそれぞれの食材や料理は現在の若者があまり喜んで食べるようなものではありません。
ですが決して失くしてはならないものだと思います。
もう一度昔から伝わる日本の郷土料理を見直したいものです。
ラベル:グルメ本