漫画家、安野モヨコによる食エッセイです。
とりたてて何がどうといった目新しい内容ではないのですが。
まえがきにも書いておられるように食通として美食を追及したような内容ではなく、『オーガニックの食品や無農薬野菜を買うように心掛けているけれど、コンビニのおにぎりも食べるしハンバーガーも大好き』、『話題のレストランのディナーはもちろん素敵だと思っているけど、場末のぼんやりした居酒屋で冷奴をつまみにビールを飲む侘しさも嫌いじゃない』という姿勢です。
そう、誰しも体にいいもの、高級な店で美味しいものを食べたいと思っていますが、そんなのばかりで食生活できるわけがない。
というか、息が詰まると思いますね。
読んでいるほうとしましても、食通が書いた食エッセイはたしかに魅力があります。
自分に縁のない世界を紹介してくださるので垂涎します。
でも共感できるのはやはり一般レベルの内容です。
売れっ子漫画家の著者ではありますが、決して食べ物自慢にはなっていません。
そこがいい。
ご自分でも料理しておられますし。
料理もせず(できず)食べるだけであーだこーだ自己顕示している若い女性も多々おられますからね。
あ、若い女性なんて限定すると差別になりますね、老若男女です。(笑)
「くいいじ」というタイトルからわかるように、著者の食べることに対しての愛着(執着?)が感じられる楽しい一冊。
本文挿絵はもちろんご本人です。
ラベル:グルメ本