主人公の並木拍子郎は人気狂言作者・並木五瓶の弟子。
武士でしたが狂言作者になりたいと五瓶に弟子入りし、見習いをやっています。
五瓶から勉強のため町で話の種を拾い集め、面白い話があれば聞かせてくれといわれ、せっせと五瓶に報告する日々です。
そうそう面白い話があるわけもないのですが、中には五瓶が興味を示し、五瓶の妻の小でん、料理茶屋の娘のおあさなどを巻き込んだ事件となっていきます・・・・。
この作品に出てくる並木五瓶というのは「東洲しゃらくさし」に出てくる並木五兵衛なんですね。
気に入った作家の作品を順立てて読んでいきますと、このようなリンクがあったりして楽しいものです。
時代小説なのでミステリーという言葉よりも謎解きという言葉のほうがふさわしいと思いますが、まずその楽しみを本流とし、それぞれのキャラもいいですね。
おあさがいい位置を抑えています。
気風のいい男勝りなおあさがぎこちなく拍子郎と惹かれあうのも支流な読みどころ。
そして連作短編なのですが、各編ごとにおあさが五瓶に作る料理がちらりと紹介されます。
これがまたいい。
京都祇園の割烹「川上」が実家であり、ブログやそれを書籍化したエッセイ本で毎日の食を紹介しておられる作者ですので、やはりそのあたりのこだわりも感じられます。
グルメ小説流行の昨今でもありますしね。(笑)
現時点でシリーズ第4弾まで刊行。
楽しみに追いかけていきたいと思います。
ラベル:時代小説