今月の読書は15冊でした。
・「ワニはいかにして愛を語り合うか」日高敏隆 竹内久美子
・「坊っちゃん」夏目漱石
・「なにたべた? 伊藤比呂美+枝元なほみ往復書簡」伊藤比呂美 枝元なほみ
・「携帯を盗み読む女」さとうさくら
・「消えた魔球 熱血スポーツ漫画はいかにして燃えつきたか」夏目房之介
・「「うまいもん屋」からの大阪論」江弘毅
・「壊れかた指南」筒井康隆
・「世界のホテルで朝食を」村瀬千文
・「海の匂い」芝木好子
・「下ネタの品格」文藝春秋編
・「私を知らないで」白川三兎
・「歴史はグルメ」荻昌弘
・「一の富 並木拍子郎種取帳」松井今朝子
・「春雷」立松和平
・「批評の事情 不良のための論壇案内」永江朗
「ワニはいかにして愛を語り合うか」、動物のコミュニケーションの不思議を紹介しておられます。
やはり人間は言葉を得た代わりに無言のコミュニケーションを失くしてしまったのか。
「坊っちゃん」、夏目漱石の代表作のひとつですね。
漱石作品の中ではいちばん読みやすいんじゃないでしょうか。
「なにたべた? 伊藤比呂美+枝元なほみ往復書簡」、詩人と料理研究家の往復書簡。
プライベートが垣間見れます。
「携帯を盗み読む女」、細かな部分にいろいろとリアリティの無さがあり。
もうひとがんばりしてほしいという印象です。
「消えた魔球 熱血スポーツ漫画はいかにして燃えつきたか」、細かな分析と模写がいい。
「空想科学読本」ぽい雰囲気もあり。
「「うまいもん屋」からの大阪論」、学者的な立場からではなく、大阪という街を書いてこられた編集者ならではの視線でしょうか。
ちょっと理屈に走りすぎている感もありますが。
「壊れかた指南」、収録数が多いだけにイマイチな作品も多数あり。
「天狗の落とし文」もこんな感じでしたかね。
「世界のホテルで朝食を」、海外の高級ホテルでの朝食を紹介した一冊。
自分には縁のない世界ですので、憧れ半分で雰囲気に浸りました。
「海の匂い」、短編集です。
芝木作品の中では可もなく不可もなくといったところじゃないでしょうか。
「下ネタの品格」、下ネタというよりは性愛論といったところ。
どうせならもっと下世話にいってほしかった。
「私を知らないで」、ハリボテのようなクラスやキヨコと高野の描き方にどうも感情移入できませんでした。
最後の持っていきようもなぁ。
「歴史はグルメ」、歴史を縦軸に、国内外のいろんな土地を横軸に。
著者の食に対する幅広い経験と知識を楽しめました。
「一の富 並木拍子郎種取帳」、狂言作者見習いの主人公と師匠の並木五瓶やおあさといった周りのキャラがいい。
ちらっと出てくる料理の描写も。
「春雷」、地味ではありますがじっくりと味わい深く読ませる立松和平の文学。
この作品もしっかりと地に足が着いていました。
「批評の事情 不良のための論壇案内」、多数いる“評論家”を取り上げ、その言動や思想について書いておられます。
こういう本があると一冊でいろんな評論家の活動を知ることができて便利です。(笑)
てなわけで今月の一冊。
迷いなくこれだというのがなかったですねぇ。
筒井康隆の「壊れかた指南」はちょっとムラがありすぎかなと。
でも「耽読者の家」、「店じまい」、「逃げ道」など、実験的な作品を書き続けてきた筒井氏がたどり着いたいくつかある内のひとつの境地なのかもしれません。
「海の匂い」は私の好きないつも楽しみに読む芝木好子氏の作品。
でも今回はフラットな印象。
立松和平「春雷」も華があるとか際立って目を引くような話ではないのですが、しかし地方の庶民の泥臭いともいえる生活をじっくりと描いておられるのが心にしみました。
なので今月の一冊は「春雷」ということで。