桐子はカトリックの女子校に通う高校2年生です。
母を亡くし父と弟と暮らす実家は八百屋。
近所には港湾があり、昔は東洋一といわれたらしい魚市場を中心に、冷凍工場や倉庫、乾物問屋、ガソリンスタンドなどがあります。
そんな淀んだ海の水と死んだ魚と野菜とガソリンと排気ガスが交ざりあった生々しい臭いの中で育った桐子ですが、下劣な町を捨てて生きる環境を変えねばと県内でいちばんのお嬢様学校に入学した次第。
上品ぶった性格の悪い同級生や修道女の先生たちとの学校生活ですが、校外で郁クンという彼氏と逢うのがすごく楽しみでもあります・・・・。
前回読んだこの作者の作品がデビュー作の「腦病院へまゐります。」。
今回はえらいまた違った作風で。(笑)
こちらはけっこうストレートな青春小説です。
思春期のいろんなエピソードを散りばめています。
恋愛はもちろん、初めてのセックスの描写もあります。
学校では友人の妊娠、自殺なども。
家庭では母との死別なんかありますしね。
いろいろ盛りだくさんなのですが、でも読み終えて「ああ、そうでしたか。いろいろあって大変でしたね」という感想しかありません。
庶民である八百屋の娘がお嬢様学校に入学してどうのこうのという設定はベタなコメディ小説のようですし、初体験、妊娠、自殺なんてのもやはりベタ。
でも悪い意味ではなく“たかが女子高生の青春の1ページ”なんてこんなものでいいのかもしれません。
なんだかんだありつつも最後はやはり彼氏ですしね。(笑)
ラベル:小説