我が子に暴力を振るってしまう。
ひどいときには死に至らしめてしまう。
そのような事件をニュースで見聞することもまれではありません。
なぜ愛する子供にそのようなことをしてしまうのか。
2008年、芥川賞作家である著者が自身のブログに我が子を叩きまくったと書き、2ちゃんねるで祭りになります。
一気に話は広まり、スポーツ紙や週刊誌から取材依頼が殺到。
著者は臨床心理士のカウンセリングを受けることにし、その内容を赤裸々に綴ったのがこの本です。
自身も子供の頃親から虐待を受けており、それがトラウマになっているようですね。
それを無意識に自分の子供に「再演化」してしまう。
カウンセリングを受け、心の闇をさらけ出し、それをこのようにノンフィクションとして公表するところがこの著者らしいといいますか。
今まで書いてこられた小説がそうでしたからね。
傷口のかさぶたをひっぺがし、流れ出る血を作品にしてこられたような作家です。
以前に「仮面の国」というエッセイ集で子供を虐待する親を断罪しておられましたが、それは当然のことでしょう。
肯定する人などいないと思います。
そのときはまだ子供がおられませんでしたが、いざ自分が親になってみると我が子に対してそのようなことをしてしまったんですね。
それほどトラウマというのは根深く、子供の頃の体験というのは後の人生にも影響を与えるようです。
しかしなんだかんだとつねに言動が注目を浴びる刺激的な作家さんですね。(笑)
ラベル:ノンフィクション