2016年12月29日

「マスタードをお取りねがえますか。」西川治

CIMG2984.JPG
カメラマンであり料理研究家でもある著者が、豊富な海外での食体験を綴ったエッセイです。
イギリスやオーストラリアで食べた、新聞紙に包んでくれる胸焼けするようなフィッシュ・アンド・チップス。
オランダで食べた生ニシンや酢漬けニシン。
ドイツでたたき売りされているの鰻の燻製。
ニューヨークで食べる絶妙な焼き加減のステーキ・・・・。
職業柄いろんな国に行かれるようで、しかしその土地で食べるのはもちろん観光者向けのレストランなどではなく。
地元の人たちで賑わうような店だったりするんですね。
これが読んでいて実に味わい深い。
例えばポルトガルのナザレで目の前に海があるレストランの外のテーブルに座り、手でつまんで食べる獲れたての鰯の塩焼きの旨そうなこと。
赤ワインを飲みながら1ダースをペロリとか。
ワインが白ではなく赤というところがいいですね。
やはりその国の料理を楽しもうと思ったら、街角の屋台や庶民的な食堂がいちばんでしょう。
せっかく他所の国に行っておきながら和食を食べるほど馬鹿馬鹿しいことはありません。
ただローカルな食堂となると入るのに勇気が要りますけどね。
むしろ観光客向けの高級店のほうが入りやすかったりします。
タイトルの「マスタードをお取りねがえますか。(Pass me the mustard,please.)」というのは、イギリスの英国王室御用達マスタードメーカーのキャンペーンから来ているのだとか。
コールマンズ社が「マスタード・クラブ」というクラブを設立し、彼ら会員の符丁としたのだそうです。
「Pass me」というのは欧米人と食事をすれば必ず一度や二度耳にする言葉だそうで、手を伸ばせば取れそうなところにある調味料でも必ずそう言って取ってもらうとのこと。
食事している人の目の前にいきなりなにも断らずに手を伸ばすのは失礼だと。
なるほど、礼儀であり、それもまた同じ食卓に着く者どうしのコミュニケーションでありましょう。
ただ会員どうし街中で出会ってそのような会話をかわしていたら頭が少々おかしいと思われてもしかたあるまい、と著者は書いておられますが。
ごもっとも。(笑)
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『に』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック