2017年02月05日

「どら焼きの丸かじり」東海林さだお

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グルメエッセイといえば東海林さだおの“丸かじりシリーズ”。
これで30作目とのこと。
いやあ、すごいですね。
数えてみますと35本収録されています。
それが30冊ですからね。
ちなみに2017年2月現在で39作。
週刊朝日に連載されているのが単行本となり文庫本となるわけですが、週刊誌の連載ですから当然週に1本書くことになるわけで。
連載開始が1987年ですから、それを30年続けておられるということです。
これはもう偉業としか言いようがありません。
さて、今回は「どら焼きの丸かじり」ということで、収録作の中の「愛すべきどら焼き」が表題作といえましょうか。
まずはしっとりと茶色いあの見た目。
ビロードのような皮のふくらみ。
ツヤがあってテリがある。
そして手にずっしりと重い重量感に頼もしさを感じつつ、半分に割るときのムリムリ感、断層のタテにスカスカと霜柱がきれいに立ち並んでいる割れ目の描写と続きます。
もちろんカステラや餡の食感甘味についてもじっくりうっとりと語りつつ、幸せに浸るのです。
しかし、ふと現実に目覚め、疑問を持ち、検証に入るわけです。
どら焼きというのは下にカステラを敷き、餡を乗せ、上にもう一度カステラを乗せフタをしている。
だがあれはフタなのか?
フタをしてあるのか、かぶせてあるのか、のっけただけではないのか。
上と下の間にすき間があり、中の餡が見えているではないか。
フタならばすき間が無いようにもっと配慮すべきではないのか。
ちょっと自覚がないんじゃないか・・・・。
とまあ、ショージ君の追及はパラノイア的に続いていくのであります。(笑)
ここがミソなんですね。
他の収録作にしても、ただ何々を食べました、何々屋に行きましたでは済まない。
食べ物にはそれぞれ人格(?)があり、そこには食べ手との格闘がある。
店に行けば駆け引きがあり、ドラマがあります。
焼き肉屋に行って「さあ、焼き肉だ」と心を奮い立たせ、帝国ホテルにわざわざハンバーガーを食べに出かけ、団子屋に行って自分で団子を焼き、立ち食いそば屋で温にするか冷にするかで迷い、そばだけではなくうどんという手もあったのかとうろたえる。
食べることに勇猛果敢に挑みつつも躊躇逡巡し、一喜一憂喜怒哀楽、当たって砕けて泣き笑い、満腹満足不満足、抱腹絶倒丸かじり。
愛すべき小市民の姿がそこにあります。
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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