2017年03月13日

「ヨーロッパ退屈日記」伊丹十三

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俳優、映画監督、商業デザイナー、エッセイスト、イラストレーター。
その他にもいろんな肩書きでマルチな活躍をしておられた伊丹十三氏。
ですがやはり映画監督としての功績がいちばん目を引くのではないかと思います。
「お葬式」、「タンポポ」、「マルサの女」、「ミンボーの女」など。
シリアスなテーマを扱いつつもコミカルであり、鋭く社会問題を突きながらエンターテイメントで誰もが楽しめる映画でした。
そんな伊丹氏のこれは初エッセイ。
初出は昭和40年です。
もう半世紀前ですね。
なのでもちろん現在とは社会的な事情がまったく違います。
しかしさほど古臭さは感じません。
むしろその20年後あたりのバブル時代を書いたいろんなフィクションやノンフィクションのほうがよほど古臭く感じられます。
やはりそれは本書が上辺だけの浮かれた内容ではないからでしょうね。
ちゃんとした見識に基づいて時代に左右されない正論を書いておられるからで、その視点にはストイシズムやダンディズムがあります。
だからといって堅苦しいわけではなく、その文体は語りかけるようにくだけており、日本で初めての本格的なエッセイとも評されています。
この時点ですでに社会を鋭く風刺しつつもそれをコミカルに読ませるという、後に監督した映画に通じるものがありますね。
本書の内容でよくいろんな人が取り上げるのがスパゲッティについて書かれた章でしょう。
この本で『アル・デンテ』という言葉を知った人が実に多い。
それまで日本人が食べていたスパゲッティ、ありゃニセモノなんだと。
啓蒙された人は正直に手を挙げなさい。(笑)
まあそれくらい画期的な一冊だったということです。
ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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