2017年05月24日

「女の橋」芝木好子

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由利子は築地で芸妓をしています。
当然周りにはいろんな男がいます。
中でも大野木という会社経営者は由利子にご執心で、ぞんざいには扱えません。
ですが成り上がりでやや品のない男です。
由利子には篠原という幼なじみの恋人がいるのですが、ダムの工事現場を渡り歩く電気技師です。
山の暮らしが多く、ほとんど東京に腰を落ち着けていません。
それだけに由利子の篠原に対する思いは深いのですが、大野木はそんな篠原の存在が気に入りません。
また柳井という若い医者もひたむきな気持ちで由利子に近付いてきます・・・・。
いつもそばにいない恋人を思う女、そんな女を自分のものにしようという男たち。
これだけの設定ですとごく普通の男女の小説なのですが、さすがに芝木好子、やはり舞台がいいんですね。
築地界隈という土地、さりげない着物の描写、お茶、笛、踊りといった芸能、陶芸などの美術。
そのような様々な小道具が作品を味わい深く品のあるものにしています。
それらに目利きな由利子のきりっとしつつも楚々でしなやかな雰囲気と、離れた土地にいる篠原を思うひたむきさがなんとも魅力です。
女の橋。
どのような状況を橋と表現するべきかは定義できません。
人によりその橋は様々でしょう。
由利子はその橋をどのように渡ったのか。
じゅうぶんに楽しませていただきました。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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