2017年06月03日

「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ

CIMG3055.JPG
キャシー・Hは介護人です。
『提供者』の世話をしています。
そんなキャシーが過ごした『ヘールシャム』という施設での思い出。
さて、介護人とはなんなのか。
提供者とは?
ヘールシャムというのはなんのための施設なのか。
キャシーの回想とともにそれらが明らかになっていきます・・・・。
翻訳物ですが、まったくそうは思わせない文体です。
作者の文体がそうなのか、訳者がそのように訳しておられるのかは私にはわかりませんけども。
なので翻訳物が苦手な人でも読みやすい。
テーマとしてはけっこうエグイといいますか残酷ともいえるわけですが、ですます調の抑えた筆致で淡々と話が進んでいきます。
ミステリーとも近未来なSFとも読めますね。
ノスタルジックな青春小説とも読めるでしょう。
ジェットコースターのように大きなうねりがあるわけではありませんので、エンターテイメントとして読んだ場合やや物足りなさを感じるかもしれません。
ですが、このテーマを直接ドーンと提示して「さあ、どうだ」と問いかけられるよりも、じわりじわりと身近なことのように染み入る怖さがあります。
いや、怖さではなく悲しみでしょうか、やるせなさでしょうか。
ボリュームは430ページほど。
やや冗長かなという気もするのですが、この枚数で丁寧にキャシーの回想を積み重ねているからこその完成度ともいえます。
地味ではありますが、読ませる小説です。
ラベル:海外小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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