2017年06月15日

「さいはての彼女」原田マハ

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表題作他3編収録。
鈴木涼香は25歳で会社を起こし、10年経った今は社員100人を抱え六本木ヒルズに本社を構える社長です。
IT企業の若きイケメン社長と恋をしのめり込んだものの、浮気を警戒して監視しすぎ、気配があるとすぐにキレ、そのキレ癖が怖いと逃げられてしまいました。
失恋を癒すために仕事に没頭してキレ癖はいっそうひどくなり、有能な秘書や重要なスタッフにも去られてしまいます。
秘書に最後の仕事として沖縄での夏のバカンスを手配させるのですが、なぜか着いた先は北海道の女満別。
そこでハーレーに乗る凪という若い女の子と出会うことになり・・・・。
仕事バリバリのキャリアウーマンがまったく別世界の人たちや景色と出会い、だんだんと心が癒されほぐされていく様が描かれています。
ちょっとラノベっぽい甘さもありますけど、清々しい読後感です。(さいはての彼女)
「旅をあきらめた友と、その母への手紙」もやはり女性の一人旅の話。
一緒に旅行できなかった友人と旅先からメールのやり取りをしつつ、自分を見つめなおし新たに視界が開けていきます。
「冬空のクレーン」も表題作と同じくキャリアな女性が主人公。
都市開発の会社で課長補佐を務め、1000万近い年収がある35歳の志保。
会議の席上で男性の部下を叱ったところ突如部下は大声で泣きだし、会議室を出ていきます。
その後彼は会社を休み、名誉棄損で会社を訴えると弁護士を通じて連絡してきたのです。
課長からは会社のために謝ってくれといわれ、社長直々にも咎められます。
頭にきた志保は、自分が折れるいわれはないと1ヶ月の有給休暇を会社に送りつけ、釧路に旅行に出かけます。
自分がいなければさぞかし仕事も大変なことになっているだろうと思いきや、メールも携帯も静まり返ったまま。
逆に不安になった志保は同僚に電話してみるのですが、たいした影響もなく仕事は動いています。
自分は大きなプロジェクトを動かしている重要な歯車だと思っていたのですが、抜けたところでいくらでも代用のあるネジだったことに気づきます・・・・。
これもまあ自然の景色の中で自分を見つめ直す物語ですね。
最後の「風を止めないで」は「さいはての彼女」に出てきた凪の母親の物語。
亡くなった凪の父親や子供の頃の凪を読みつつ、夫婦や親子の愛がじんわりと染み入ります。
新しい1歩を踏み出す女性たちを描いた短編集、といったところでしょうか。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『は』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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