2017年10月23日

「ラストレシピ 麒麟の舌の記憶」田中径一

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佐々木充は『最後の料理請負人』。
人生の最後に食べたい思い出の料理を再現するのが生業です。
そんな佐々木にある中国人が仕事を依頼してきます。
200万円という報酬に釣られ北京にまで出かけた佐々木。
依頼主は楊晴明という99歳の老人です。
依頼の内容は第二次大戦中に満州で作られた『大日本帝国食菜全席』というレシピを日本で探してほしいとのこと。
しかしそれはただのレシピではなく、204品からなる中国の『満漢全席』をも上回る壮大なレシピでした。
どこにあるかわからないそんなものを探し出して、ましてや再現するとなると200万円では割に合いません。
断ろうとする佐々木に楊は5000万円の金額を提示します。
借金を抱える佐々木は心が動き、仕事を受けることにしたのですが・・・・。
なかなかスケールのある話ですね。
佐々木目線の現在(2014年)の日本と、レシピを作った山形直太朗の満州時代(1932年~1941年)が交互に書かれ、いろんな事実や謎が浮上してきます。
『大日本帝国食菜全席』は天皇の満州行幸のため作られたレシピであること。
春・夏・秋・冬と4冊からなるこのレシピをめぐって何度も不可解な事件が起きているということ。
そして佐々木の日本での行動もすべて楊に監視されているようです。
なぜ楊はそこまでして執拗に『大日本帝国食菜全席』にこだわるのか。
何重にも謎がほどこされ、最後の最後までパズルのピースが埋まりません。
中だるみすることなく読み応え十分です。
そして料理を扱った小説というとどうしてもウンチクを語りがちになりますが、いっさいそのようなことがないのも好感が持てます。
料理法や素材の組み合わせについての説明くさいセリフ、味についての装飾過多で大げさな表現など、読んでいてうんざりすることがありますもんね。
これはそのような上辺で料理を扱ったような小説ではなく、戦中の満州を舞台に料理人の人生をしっかりと描いたスケール感のあるミステリーです。
巻末にはなんと『大日本帝国食菜全席』の204品もの料理リストが掲載されており、圧巻です。
作者の創作とのことですが、いや、お見事。
ラベル:小説 グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『た』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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