2017年10月25日

「草の上の朝食」保坂和志

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「プレーンソング」の続編です。
といいましても、「プレーンソング」自体なにがどうという話があるわけでなく、毎日をだらだらと過ごしているだけの内容なんですよね。
なのでこちらもそのまんまです。
主人公の部屋に居候しているアキラ、島田、よう子ちゃん。
今回は主人公に工藤さんという彼女(?)ができまして、仲間に加わります・・・・。
ほんと生活感がないんですよね。
いや、違う。
生活感はじゅうぶんにある。
それを支える基盤がまったくないんです。
主人公はどうやらサラリーマンのようですが、なんの仕事をしているのかいっさいわからない。
アキラ、島田、よう子ちゃんもいったいなにやってんだか。
毎日ネコに餌をやったり楽器を演奏したり。
経済的に成り立つのかなんて疑問が湧くのですが、そのようなことにはまったく触れられていない。
これはあくまで私の個人的な思い入れといいますか感想なのですが、過ぎ去った青春の日々を思い出すのです。
青春というにはこの作品の登場人物は歳を取っていますけども。
ただ自分の過去を懐かしく振り返っているような、のどかでノスタルジーな雰囲気があるんですよね。
当時は当然生活の苦労があったわけですが(主に経済的なことで)、今となればそんなことよりも仲間との馬鹿馬鹿しくも楽しい毎日が思い出されるわけです。
この作品はそんな苦労を沈殿させて上澄みをすくったような話、という気がするんですね。
苦労のドロドロは書かず、上の澄んだ部分の話を書く。
なのであっさりとしていてコクがない。
コクはありませんが、出汁はじんわりと効いています。
さりげなく味わいを感じさせます。
それがこの作品の、というかこの作家の持ち味なのかなと思うのですが、どうでしょう。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『ほ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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