2017年11月12日

「ばかもの」絲山秋子

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ヒデは大学生。
バイト先のスーパーマーケットで知り合った30歳に近いパートの額子と付き合っていました。
ですが21歳の誕生日を2週間後に控えた日、夜の公園で木に縛り付けられ、パンツを膝までおろされてフェラチオされ、発射する寸前に「結婚するんだ、私」と額子に去っていかれます。
情けない姿で木に縛られたまま捨てられたヒデ。
やがて大学を卒業し、家電量販店に就職もします。
翔子という彼女もできて休みの日は彼女のアパートに入り浸り。
結婚も考える付き合いですが、いつの間にかヒデはアルコール依存症になっており、翔子に暴力を振るうようになります。
会社も辞め、翔子にも去られ、飲酒運転で事故を起こし、ついには入院。
もうボロボロです。
退院したあと約10年ぶりに額子と再会するのですが・・・・。
額子を失い、仕事を失い、新しい恋人も失い、友人も失い。
心も体もボロボロになったヒデですが、10年ぶりに会った額子もまた大きなものを失っていました。
そんな2人の喪失と再生の物語です。
どん底に落ちて絶望を目の当たりにし、しかし再会によってようやくじんわりと先が見え始めます。
この喪失と再生というのは他の絲山作品にも共通して感じられるように思います。
そして男女の距離感がまた絶妙なんですよね。
ほんわかと心が温まるような。
例えば翔子という新しい彼女は恋人としてとても理想的な女性です。
私は額子よりも翔子のほうがずっといい。(笑)
でも絲山作品においては翔子ではだめなんですね。
やはり額子のような女性であり、このあたりが絲山作品の魅力でしょう。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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