2017年11月28日

「紙の月」角田光代

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専業主婦で子供もいない梅澤梨花は41歳。
銀行でパートを始めます。
得意先をまわり、集配金を届けたり預かっていた通帳や書類を届けたりが主な仕事です。
顧客から呼び出されて定期や普通貯金のお金を預かったりもします。
真面目で客からの受けもよい梨花は、やがて契約社員となります。
ある日、顧客の孫である大学生の光太と出会うのですが、そこから梨花の人生の歯車が狂い始めます・・・・。
怖い小説ですね。
といってもホラーな怖さではなく。
お金の怖さです。
いや、お金自体は怖くもなんともない。
それを追い求める欲望が怖いのです。
光太に貢ぐため顧客のお金に手を付ける梨花。
最初はすぐに返せばいいといった考えでしたが、すぐに歯止めが効かなくなります。
平凡な専業主婦だったはずが、大学生の男を相手に大金持ちのマダムを演じてしまうのです。
ブランド物を買い漁り、高級ホテルのスイートルームに泊まり、車を買い与え、マンションまで借りてやり・・・・。
なんだかんだと横領し、やがてその金額は1億円。
やはり人間は身の程を知るというか足るを知らなければだめですね。
話のメインは梨花ですが、梨花の昔の友人たちの生活も描かれています。
中学・高校とクラスメートだった岡崎木綿子、昔梨花と付き合っていた山田和貴、料理教室で一緒だった中條亜紀。
やはり皆、なんだかんだとお金にまつわる苦労をしています。
木綿子はひたすら節約して家計をやりくりしています。
スーパーで買い物袋を持参して5円割引きをしてもらったり、使いすぎるといけないので財布には2千円しか入れなかったり。
しかしそんな倹しい生活をしているせいか、小遣いを与えられていない娘はスーパーで化粧品を万引きしてしまうのです。
和貴の家庭では裕福な家の出である妻が何不自由なく暮らしていた自分の子供時代と自分たちの子供の現状を比べ、子供たちになにもしてあげられないと現在の生活レベルを嘆きます。
やがて妻はいきなり羽振りよく子供にいろんなものを買い与え、お金の出所は自分の母親だと和貴に説明するのですが、実は消費者金融でした。
和貴の出した結論は離婚です。
亜紀は出版社の編集者。
浪費癖があり、そのためにこれも消費者金融に手を出して借金し、夫から離婚されてしまいます。
娘がいましたが夫が引き取り、現在は12歳。
ときどき会っているのですが、娘に言わせるとママというよりも友達感覚だそうです。
会うたびにブランド物で着飾りかっこよく素敵な友達感覚の母親を演じてきましたが、結局娘は亜紀のことを金づるとしか考えていませんでした。
皆お金に振り回されています。
まあ現実の問題としてやはりお金は必要ですが、人生を破滅させるほど追い求めてはいけませんね。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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