2018年02月02日

「遮光」中村文則

CIMG3195.JPG

いつも黒いビニール製の袋を持ち歩いている私。
中には瓶が入っています。
瓶の中身は人間の小指です。
事故で亡くなった恋人の美紀の小指を、医師の目を盗んで霊安室から持ち帰ったものです。
それをホルマリン漬けにし、つねに持ち歩いているのです。
友人たちには美紀はアメリカに留学していると嘘をつき続けて・・・・。
恋人を失った喪失感はわかりますが、形見の物を身につけるのならまだしも肉体の一部を盗み取って持ち続けるなど、これはもう愛ではなく狂気ですね。
ですが主人公の私は非常に冷静で客観的に自分を見ています。
しかしそれはあくまで自分の世界の中だけの話であって、周りから見ればその言動はやはり異様です。
虚言癖や相手をわざと怒らせるような言動、顔色を変えず(?)に鉄の棒を喧嘩相手に振り降ろしたり花瓶を頭に叩きつけたり。
それは恋人を失った虚しさや絶望感なのか、誰に対してぶつけていいのかわからない静かな怒りなのか。
愛する人を失うのはつらいことですよね。
それでもほとんどの人はそれを乗り越えて、というか乗り越えざるを得ないわけですが、主人公はそれができなかった。
ある意味壊れてしまったんですね。
生と死、精神のコントロール、偏執的、物事を冷たく客観視する目など、過去に読んだ作品には共通した印象があります。
この作家の書く小説は暗く重いです。(笑)
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『な』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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